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Siamese Cats インタビュー in バンコク(後編)【”アジア”で繋がるインディー・ミュージック 連載001】

October 28, 2018

 

【”アジア”で繋がるインディー・ミュージック 連載001】
Siamese Cats (シャムキャッツ)インタビュー in バンコク(後編)

 

 

 

バンコク視点から、アジアを舞台にインディー・ミュージック・シーンで活躍する人々にお話を伺う本企画。第一弾は、日本のギターロックバンド『SIAMESE CATS(シャムキャッツ)』。前編ではバンコク・海外公演の話題を中心に、後半の本記事では結成以来変わらないメンバー4人で、またセルフマネジメントで活躍し続けるバンドの強さの秘訣について探ってみました。

 

 

 

SIAMESE CATS(シャムキャッツ)in バンコク (前編)はこちら。

 

 

 

SIAMESE CATS (シャムキャッツ)

写真:(左→右)  

菅原慎一 (Guitar & Vocal)

大塚智之 (Bass & Chorus)

夏目知幸 (Vocal & Guitar)

藤村頼正 (Drums & Chorus)

 

最初から順風満帆だったわけでなく、紆余曲折を経て、東京のインディー・シーンを代表するバンドとなったSIAMESE CATS。2007年頃から活動を始め、後にマネージャーとなる人物との出会いをきっかけに、2009年に最初のレーベルからデビューアルバム「はしけ」を発売。その後、彼と一緒にレーベルを抜け、数年間は自主活動を行い、2012年末に老舗インディーレーベルP-vineに移籍。その後、2016年8月に自主レーベル「TETRA RECORDS」を設立。その頃からアジアへも活動を広げるなど、常にバンドにとってベストな方法を模索している。

 

 

 

日本・東京のシーンはどんな感じ? 

 

 

───ファースト・アルバムをリリースした2009年ごろの東京ではポストロックが主流だったとのことですが、同時期にタイでも似た流れ(※1)はありました。当時と比べ、今の東京のシーンってどんな感じですか?

 

※1 バンコクのインディーレーベル「SO::ON」周辺の盛り上がりや、Mogwai、Toeといったポストロック系バンドの来タイ公演など

 

 

菅原 : 2009年くらいは、SIAMESE CATSは本当にどこでも評価されなかった。ライブハウスで「歌もの」ができるところは一応あったんだけど、自分たちのスタイルに合わなかった。2011年とか2012年くらいにCeroとか昆虫キッズとか、オリジナリティがある歌を聴かせるバンドと知り合ったくらいから、ようやく友達も増えました。

 

今の東京のシーンは素晴らしいと思います。2009年ごろに比べるとポップなバンドがとても多く活動している印象。インターネット以降の、当時とは違う広い価値観をもったバンドが毎週末どこかのライブハウスで伝説を作っているかも。

 

 

 

会場のPLAYYARDの一角で撮影。

 

 

 

 

セルフマネージメントの可能性

 

 

 

SIAMESE CATS -「このままがいいね」(Single/2018)

 

初期のNew Orderにも通じるような、極上のダンスチューン。MVの監督は写真家の伊丹豪さんと夏目さんのダブルクレジット。

 

 

 

 

 

───P-Vineに所属している最中から、ZINE作家とバンドを集めたイベントの主催をしたり、様々な活動をされていますが、そもそも日本ではレーベルに所属している時って、例えば、こんなグッズ作りたいとか、自由に自主的に活動できるものなんですか? また自主レーベルを立ち上げてからの変化は?

 

菅原 : 全然できますよ。俺らはそういうのを自分たちのやりたいやり方でやってきた。ただ、リリースする業務に関しては、(所属していると)完全にやってくれるので、楽ですよね。今は、全部自分たちでやっているので。

 

夏目 : これまで在籍していたP-Vine は老舗レーベルだけど、そこではP-Vine印を押して貰えるだけ。もちろんCDのリリースに合わせて、メディアとか、CDを売るためのPRは手伝ってくれますが、基本的にバンドが自主的に動く必要があります。なので、そんなにやってること自体は変わってないね。

 

菅原 : 基本的にはセルフマネージメントのD.I.Y.スタイル。今、日本ではメジャー・シーンもインディーズ・シーンもあまり変わらなくなってきていて、自分が頑張れば頑張るほど良くなる。

 

 

───タイのインディー・シーン周りの環境は色々と良くなってきているものの、やはりその規模自体が小さいが故に葛藤を抱えるミュージシャンは多いです。しばらく活動していると、その中だけでどれだけ評価されても、到底食べていけないことに気付く時が来るというか。それなりに有名になったバンドでも、そこで辞めちゃうか、本業を続けながら年に数回ライブをする程度といったペースになってしまうことが多いです。ただ、音楽面以外のことはレーベル任せで、セルフ・マネージメントには消極的なバンドも多いので、活動を続ける為にはもう少しやれることがあるんじゃないかと個人的には見ています。アート方面だと、若い世代で上手くマネタイズできているアーティストが出始めてはいるのですが……。

 

夏目 : 今うまくいっていなくても、「自分のやりたい音楽を続ける」っていう熱い思いを持った人にアジアのいろんな土地でたくさん出会ってきました。ソウルでも、香港でも、もちろん東京でも下を向いたらキリがないのは同じです。ただ、仲間を集めて面白いことを粘り強く続ければ、新しい道が開けるぞという実感が、ここ数年強くあります。そういうった輪がどんどん広がっていっているとも感じています。ネットワークが広がればいいアイデアも伝播しやすいのではないでしょうか。僕らもツアーでいろんな土地へ出向いて、いろんないい影響を受けています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PLAYYARDの片隅にあるガネーシャと祠の前で。

 

 

───SIAMES CATSは、今はマネージャーなしで、文字通り全て自分たちでされているとのことですが、特に夏目さんは、MVやアルバムのアートワークなど音楽以外のクリエイティブ面でのマネージメントなども先導しているとのこと。アーティスティックな音楽作品を作る一方で、それ以外の正反対のようなこともきちんと両立できている事に改めて驚かされました。

 

 

夏目 : 今、自分がどちらもやれてるのは、そういうことができている先輩ミュージシャンたちがいたからかな。サニーデイ・サービスとか、トクマルシューゴとか。そして本当に作りたい音楽と、売れる音楽があったら、僕はその間。中道を行きたい。つまり、「やりたいことをやって、なるべくいっぱい売る」ってやり方。やりたいことも突き詰めるし、売ろうとすることも諦めない。やるか、やらないか。やっても起こらないかもしれないけど、やらないと起こらないから、やるしかない。タイでも、その中でひとつでも残るバンドがいると良いですね。

 

 

 

SIAMESE CATS -「MODELS」(Single/2014)    

自身でMVのアイディアも出すことも。模索しながらもインディペンデントな方法で音楽活動を続けることについて、 「アメリカのインディーズ・バンド達はできてるからね」とさらりと語る夏目さんが印象的でした。

 

 

 

バンコクと日本のスピード感の違い

 

 

───バンコクのバンドのマイペースな活動に慣れている身としては、日本のバンドのスピード感に圧倒されます。前後しますが、SIAMESE CATSは特にP-Vineに所属する以前など、凄い速さで作品をリリースしていますよね。

 

大塚 : やっぱり音楽シーンのスピードが速いので、常に何か行動を起こしてないと、何もしてないって見られます。例えばライブを半年していなかったら、「あのバンドどうしたのかな?」と、日本のお客さんは思うので。

 

 

───たった半年単位で!?

 

大塚 : いやいや。半年単位どころか、2ヶ月ないだけでも。特にインディーズの初期の時代とかは、それこそ大阪の方も年に一回行けるか行けないかという感じで……。行く機会って言ったら、(イベントなどに)呼ばれるか、(曲を)リリースしてそのツアーをするしかないじゃないですか。で、呼ばれないじゃないですか。だから、リリースするじゃないですか。となると、リリースするスピードが速くなるんです。活動している程を保つために。

 

 

 SIAMESE CATS -「忘れていたのさ(at 河原) [SIDE A~河原~]」- 『BGM』(DEMO DVD/2009)収録

初期の代表作のひとつ。

 

 

 

SIAMESE CATS -「GET BACK」-『GUM』(Mini Album/2011) 収録

90年代のUSインディーを彷彿させるナンバー。様々なスタイルを取り込んでいるところも魅力の一つ。

 

 

───だから当時、尋常じゃない速さでリリースが続いていたのですね。

 

大塚 : バンドが一回シーンから消えるのはよくない、と僕たちは思っていたので。シーンにあり続けるために、流行ってなくても「SIAMESE CATSってバンドがいるよね」っていう感じを保つために。だから割とリリースのペースが早いんです。今回のアルバム「Friends Again」(2017)は前のアルバム「AFTER HOURS」(2014)から3年振りなんですけど、その場合でもシングルとEPをその3年の間に3枚出していて。

 

今は、その合間にアジアツアーが入ったりと、年間でやることが増える度にリリースのタイミングが遅くなっていますが、それは悪いことではないです。活動自体は衰えない感じで。そうやって、とにかく活動を続けることで、ずっと少しずつ確実にファンが増えてきて、成果が出ています。日本は(新しい)バンドがいっぱい出てきちゃうので。僕たちと同期のようなバンドで、今も解散せずにインディーズとして活動しているバンドは本当に 少ないですよ。

 

 

SIAMESE CATS -「カリフラワー」(Single/2018)

インタビュー後の4ヶ月の間で、フジロックを含む、夏フェスやイベントに参加し全国を飛び回りつつ、シングル1枚、ライブDVD1枚をリリースし、日本主要都市でのミニツアーを開催。現在(2018年10月)は今年2度目のアジアツアー(中国・韓国・台湾)の真っ只中。そして11月には5枚目となるフルアルバム『Virgin Graffiti』の発売を控える。

 

 

 

Youtube やSpotifyについて

 

 

アジアの国々ではYoutube経由でバンドを知ったり聴いたりする人が圧倒的に多いため、SIAMESE CATSもできるだけ楽曲を公開する一方、サブスクリプション配信も積極的に展開している。その中でもSpotify Japanでは、バンドへのサポートも積極的に行なっているという。(ちなみにタイで人気のSpotifyとApple Musicは、どちらも月額129バーツ〈約440円〉と日本のほぼ半額。)

 

夏目 : Spotify JAPANにはバンドやレーベルが連絡すると会いに行けて、彼らのオフィスで活用方法の講習もしてくれます。海外公演を行うバンドなどには、その開催都市で動画を流すといったサポートもあったり。あと、「名古屋よりバンコクの方が聴かれているな」とか、色々とわかります。

 

 

───でも、私たちがSpotifyで聴くことはバンドの収益にならないのでは?

 

夏目 : それは立場によるかもしれない。反対する人の意見もわかる。Spotifyに否定的な有名アーティストとかも、レコードを発売するために食べさせないといけない膨大なスタッフが関わっているし。でも、僕らは自主レーベルで、マージンがないからね。まだそれだけで十分という額ではないけど、それなりの収益にはなっているし、伸びています。そしてロングテール。

 

あと、CD自体を買うか買わないかということは、実はあまり気にしていません。CDの売り上げは、ボーナスのようなもので。リリースした時は売れるけど、時間が経つと落ちてくるから。マネタイズはライブ関係が中心です。

 

ちなみに、聴かれている回数の母数が圧倒的に多いからできることだけど、U2 とかColdplayは、街ごとの人気の曲を見て、セットリストを組んでいるみたい。SIAMESE CATSも、例えば自分たちの曲の中でお気に入り(LIKE)の数はそんなに多くない曲でも、一人のリスナーが1000回聴いてるような曲には可能性があると思ってて。

 

 

 

音楽で生きていくこと。続けること。

 

 

 

 

音楽やアートで生計を立てること。そしてそれを「続ける」ということは、なかなか容易でないのは世界共通。そんな中、「誰か一人でも欠けたらSIAMESE CATSでない」と公言し、高校時代に4人で結成して以来、一度のメンバーチェンジもなく、この4人が奏でるサウンドにこだわったバンド活動を続ける彼ら。タイ人ライターの男の子からの質問を最後にどうぞ。

 

 

───タイでも、みんな親からのプレッシャーや金銭問題を抱えていて、こういった活動を続けることはとても困難なのですが、そもそもずっと同じメンバーで続けているのはどんな感じですか?

 

 

藤村 : メンバーと結婚している感じです(笑)

 

菅原 : 家族ですね(笑)

 

 

───バンドを続ける理由は?いつまで音楽を続けると思いますか?

 

 

藤村 : 旅行。新しい世界に演奏や音楽を通じて触れ合えるのが最高!

 

夏目 : 家族旅行(笑)

 

大塚 :  忙しいから。忙しくて、辞める暇がない。別に辞めたい訳じゃないけど、次々に起こって、回り続けてるから。

 

藤村 : くるくるの中で走ってるハムスターみたいに。

 

大塚 : 止まれない。本当に、止まる時間がないです。

 

藤村 : なるべく長く続けたい。それを目標として何をやるか、行動がそれに導かれています。

 

 

 

菅原 : 欲望。自分がやりたいことを、こうやってバンドで音にしたり。今日みたいに、待ってくれている人がいるのに行けてない場所が、まだあるかも知れない。そういうのに会いたいなって気持ちもある。海外でもSIAMESE CATSを観たい人が一人でも残っているうちは、やり続けたいです。そういうのがある限りは、やるしかないから。だから自分が、欲がなくなっちゃったら、もうバンドは……と思う。自分の音楽なら、仕事でもしながら趣味のようにできると思うけど、SIAMESE CATSは違う。バンドを信じているし、欲望が残っているうちは、やり続けます。

 

夏目 : 音楽を続ける理由はこれしかできないから。ミュージシャンとして(雑誌などに)文を書いたりすることはありますが。アジアのどの土地に行っても1000人位集められるバンドになりたいです。どのくらい時間がかかるかわかんないけど、まあゆっくり。もちろん、その先にヨーロッパやアメリカも。あと、ジャカルタの熱烈なファンからインスタに連絡が来ていて、行きたい!

 

大塚 : アジア以外はまだ一度も行ってないので、いつかは行きたいなと思っています。アジア全体のインディー・ミュージックが盛り上がって行けば、そういう流れができるんじゃないかな。なので、今はまずはアジアで。

 

夏目 : タイのフェスに出たいです。だから、僕たちをサポートしてください!

 

 

バンドにとってより良い環境を作るために、模索し続けるSIAMESE CATS。これまでにないほど音楽が軽々と国境を越えて伝わる今、インディペンデントに活動するアジアのバンドが、自分たちの音楽を続けていくために、近隣諸国の各都市へと活動範囲を広げるのは、必然的な流れだということが明確に感じられたインタビューとなりました。

 

 

MAZIRUでは引き続き、タイのインディー・ミュージック・シーンの現状や展望について、また今勢いのある中国事情などについて、 今後の特集で掘り下げていきます。

 

 

 

SIAMESE CATS(シャムキャッツ)in バンコク (前編)

 

 

Photo: Yoko Sakamoto

Special thanks to: Tossaphol Leongsupporn

寺尾ブッタ (月見ル君想フ / Big romantic records

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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