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Siamese Cats インタビュー in バンコク(前編)【”アジア”で繋がるインディー・ミュージック 連載001】

October 25, 2018

【”アジア”で繋がるインディー・ミュージック 連載001】

Siamese Cats (シャムキャッツ)インタビュー in バンコク(前編)(後編)

 

 

この数年、日本のインディー・ミュージック・シーン界隈ではアジアの各都市との交流が盛んになっていますが、それはここタイ・バンコクも同様。以前からあった近隣諸国間のゆるやかな行き来が積み重なり、それが現地のシーンの一部になってきたのは、ここ2〜3年。大手レコード会社に属さない日本、台湾、韓国などのインディーズバンドの来タイ公演にも随分と注目が集まるようになってきました。

 

その背景には、国、言語、知名度にはこだわらず、YoutubeやSpotify、Apple Musicを使って新しい音楽を探すという、学生〜20代のインディー・ミュージック・ファンの間での音楽の聴き方の変化。近隣諸国のインディーズバンドと直接交渉してバンコクに招致する、若い世代のプロモーターの活躍。そして、LCCなどを上手く利用して、アジアツアーを組むバンドの増加などがあります。

 

 

バンコク視点から、アジアを舞台にインディー・ミュージック・シーンで活躍する人々にインタビューをする本企画。第一弾は、日本のギターロックバンド『SIAMESE CATS(シャムキャッツ)』。

 

タイとは比べものにならない数の新人バンドが毎年生まれる東京。音楽の質はもちろん、圧倒的なスピード感が求められるその第一線で活躍しながら、近年、台湾や中国などへも活動を広げる彼ら。その「音楽を続けていくための方法」を考え、手探りで進む彼らの話は、ここタイの音楽ファンはもちろん、クリエーターやそれに関わる人たちにとっても刺激になるはず。(タイ語版も近日公開)

 

 

 

 

(左→右)

夏目知幸 (Vocal & Guitar)

大塚智之 (Bass & Chorus) 

藤村頼正 (Drums & Chorus) 

菅原慎一 (Guitar & Vocal) 

まずはバンコク公演の話題から

 

 

2018年6月に台北・香港・バンコクのアジア3都市で行われたツアー。その最終地のバンコク公演は、タイのトロピカル・ポップ・バンドGym and Swimが所属するレーベルParinam Music傘下のプロモーター「Seen Scene Space」が主催。会場となったライブハウス「PLAYYARD」には、バンドの来タイを待ちわびていたタイのインディー・キッズが押しかけました。

 

SIAMESE CATS -「GIRL AT THE BUS STOP」- 『Take Care』(EP/2015) 収録

今回のバンコク公演は、台湾・香港公演の情報を聞きつけたSeen Scene Space代表のPoomさんがラブコールを送ったことから実現。タイ公演のPRには、こちらの曲がメインに使用されていました。

 

 

───まず、初めてのバンコクのライブはどうでしたか?

 

夏目 : バンコク最高!

 

菅原:東京と街の感じは似てるね。あと、どこの国でもライブハウスに来るような人は似ていると思う。

 

大塚 : 日本のライブハウスにいるようなファッションの子もいたけど、日本ではいないタイプのファッションの子もいたね。

 

菅原:そう。顔も凄く多様性があって面白かった!

 

夏目 : 東京と近い部分もあるけど、もっと表情豊か。あともうちょっとエキサイトしてるね。

 

 観客の9割以上がタイ人、残りが日本人や西洋人という割合でした。

 

 

───みんなずっと写真とか動画を撮りながら観ていて、ちょっと撮影会みたいになっていたのは、タイっぽいなと感じたのですが。

 

菅原:日本だとフラッシュで気が散るっていう人とか、撮影を嫌がる人もいますが、SIAMESE CATSは日本のライブハウスでも撮影OKにしてます。(※1)僕は撮られているとテンションも上がるし、嬉しい。

 

※1 迷惑にならないサイズのカメラで。

 

 

───今回のオーディエンスは、ほとんどが現地のタイ人でしたね。好きになった時期や、バンドを知った曲は、様々だったようですが。

 

夏目:すでに東京で観てくれたことのある人とか、「フジロック(※2)で会おう」って言ってくれたファンの子もいました。本当にバンコクにまた戻ってくるのか、半信半疑な人もいる感じだったけど、僕らは、一度だけ行って、二度と行かないという都市はないので大丈夫。また来年来ます。

 

※2 取材時は6月。翌月開催されたFuji Rock Music Festival 2018に出演した。

 

 

 公演後にサインを求めるファンの行列

会場となったPLAYYARD

 

 

───ライブでは、音源から想像していた以上にベースとドラムのグルーブ感が凄く、やっと生で観ることができて、本当によかったです。90’sあたりのUK/USインディーロックを彷彿させる音のようでいて、ちゃんと今の音になっているなと改めて感じました。

 

大塚 : そうですね。ライブでは、かなり思い切ってベース音を出しています。僕だけバンドの音楽性とは違うものを聴いていて、普段は全然ロックを聴きません。レッチリ(Red Hot Chili Peppers)とかも、聴き始めたのは ベースを始めてからで。普段は音楽はベースの音が引っかかるものを聴いたりします。やっぱりジャズとかのベースの方がメロディアスだから好きです。

 

SIAMESE CATS -「PM5:00」 at 恵比寿 LIQUIDROOM - 『TAKE CARE』(EP/2015)収録 

とってもネオアコな一曲。大塚はフュージョンやエレクトリックジャズを中心に聴くという。

 

 

大塚 : SIAMESE CATSの 「AFTER HOURS」(Album/2014)と「TAKE CARE」(EP/2015)のときって、ネオアコ(サウンド)だったじゃないですか。それまで僕はネオアコとか全く知らなくて。メンバーに聴かされて、割とジャズ的要素もあるのかな、白人がそういうのをやりたかったのかなと理解しました。それで、その2作品では、自分なりのフュージョンが上手くはまればいいかなってやってみたら、それがいい感じにはまって。それまでは個人の持ち味をそれぞれが持ち寄る感じだったのが、それ以降は「その持ち味をどうやって引っ張ってこうかな」というように、若干作り方が変わってきました。

 

海外に出始めてからの、変わったこと・変わらないこと

 

2016年に初の海外公演となった台北でのライブを皮切りに、アジアでの活動を積極的に行なうSIAMESE CATS。その台北公演と同じく、今回のツアーのマネジメントを担当したのが、アジアのインディー・ミュージック・シーンのキーパーソンである青山・台北のライブハウス「月見ル君想フ」店主、寺尾ブッタ氏(※3)。彼のレーベル「Big Romantic Records」から、本ツアーに先行してリリースされたSIAMESE CATSと台湾のAORバンドSunset Rollercoaster(落日飛車)とのスプリット7インチは各所で話題になりました。

 

※3 後日、インタビュー記事をMAZIRUで掲載予定

 

Sunset Rollercoaster/ SIAMESE CATS -「Travel Agency / Cry for the moon」(split7inch/2018)

アートワークを手がけるのは人気タイ人イラストレーターのTuna Dunn!MAZIRUvol.03にも登場。

 

 

───まず、最初に台湾で公演をしようと思ったきっかけを教えてください。

 

藤村 : 台湾の透明雑誌(※4)が日本に来たり、日本の周りのバンドも台湾へと行き始めていたので。自然な流れで次は台湾かなと。

 

※4 初来日は2011年。「台湾版Number Girl」 と評され、 日本のインディ・ロック・シーンで旋風を起こした。

 

 

───海外ツアーを行うようになって、その経験はどのように音楽に反映されていますか? サウンド面やライブなどで。

 

大塚 : 結構影響されて、変わってきていると思います。どんどんシンプルに、音が全てという感じ。音楽そのものが伝わると信じています。

 

藤村 : 歌に関して言うと、言葉が通じなくても伝わるような歌い方を意識するようになったと、夏目が言ってました。バンドサウンドに関しては、例えば、アジアは反応がダイレクトで、すぐにバーって盛り上がってくれる。

 

 

───どこのアジアの街もそんな感じですか?

 

藤村 : 全体的にそうかな。特に南の方がその傾向が強いかもしれないですね。日本だと大阪とか盛り上がりが大きいです。分かりやすく「ロック!」っていうタイプじゃないので、昔は分かりやすく盛り上げるのとか、恥ずかしかったんですよ。 でも今は、(日本でも)いくところはいっとかないとなと言う意識がありますね。

 

 

───以前はその都度メンバーでセットリストを決めていたのを、今は大塚さんが一人で全部決めているそうですね。セットリストは国によって変えたりしますか?日本と海外は違うとか。

 

大塚 : ないです。差がないようにしています。単純に行ける回数が少ない街だからとかは多少頭に入れますが、海外だからとかではなく、日本でも札幌とか年に1回しか行けないので、「だったら、昔の曲もやろっかな」ってくらいで。でも、CDを聴いてない人が多いからyoutubeに上がっている曲を多めにやろう、とかはあります。どちらかというと、ライブの現場で一番ちょうどよく盛り上がれるような流れだったらいいなと。

 

SIAMESE CATS -「渚」(Single/2011)

初期の代表曲も、バンコクではしっかり盛り上がっていました!

 

 

大塚 : 僕が一人でするようになってからは、例えば日本のワンマンツアーで、「friends again」リリース後のツアーでは、全部10箇所、セットリストを変わんないようにしたんですよ。「絶対の流れ」を作って、それをパキッってやるってスタイルにして。なので、わりと時期によってセットリストは同じになりつつあります。今回のタイと香港は、時間も含めてほぼ同じ。 台湾は時間が短かったのでちょっとだけ省いて、あと「台北」(※5)をしたり。

 

 SIAMESE CATS -「friends again」(Album/2017)

ちょうどツアー中に、アルバム全曲がyoutubeで公開されました。

 

※5「台北」は39:59〜。街の描写が秀逸な名曲!

 

 

───SIAMESE CATSは、海外ツアーでは現地の人々と英語でコミュニケーションを取る一方、歌詞は日本語にこだわりを持つバンドですよね。海外で、日本語で歌うことについてどう思っていますか?

 

夏目 : 日本で生まれたので、日本語にこだわっています。そして、純粋にサウンドだけで通じると思っています。自分にとって一番感情を伝えやすい言葉で歌うのが重要だと感じています。SIAMESE CATSの歌詞は主に「恋愛」「男気」「日常」について。外国のバンドの歌詞の訳を読んだりすると、どの国とか都市とか関係なく、みんな持っている悩みは似ているなって思います。

 

リハーサル後。会場前で現地メディアの取材中

 

 

───タイの感想は? 

 

大塚 : フィーリングが近いと思いました。でも、ここ(ライブハウス)に集まっている人だからなのかな。香港と台湾に行ってからのタイだと、アジアのインディー・シーンにも流行りがあって、SIAMESE CATSはそことも仲良くできるけど、若干違うなと感じています。簡単に言えばジャンル的に。タイは割とSIAMESE CATSみたいなバンドは受けは良さそうな気はしている。あまり流行りがない気がしているので……流行りってあります?

 

 

───時代によってそれなりの流行りはありますが、あまりバンドのスタイルをその時代ごとに合わせて変える感じではありません。このバンドはこの音でOKという感じですね。

 

大塚 : ですよね。今の所、そういう感じはしています。台湾も初めての公演の時は、SIAMESE CATSと(台湾の)Manic SheepとSunset Rollercoaster(落日飛車)の3バンドでやって。全バンドともジャンルが違うけど、お客さんもそれなりに全部楽しんでいて、面白い光景だなーって感じました。そういうのは、いいことだなって思います。日本や中国は、インディーでさえも多少流行りがある気がするので。でも、バンドに確固たるものがあれば、払拭できるとも思っています。

 

 

タイにまつわるエピソード

 

メンバーの中で唯一、以前にもタイに遊びに来たことがある藤村さんに、タイにまつわるエピソードを伺いました。バンコク・チェンマイ旅行に来る直前に、岐阜のイベントで出会ったDJ Moola(※6)さんのアテンドで、チャイナタウンのレコード屋やMaft SaiのStudio Lamなどに立ち寄ったんだとか。

 

※6 元バンコク在住の日本人DJ。現在、名古屋でタイカレーレストラン「ヤンガオ」を経営。

 

 

───タイの音楽は知っていましたか?

 

藤村 : タイの音楽はMoolaさん経由で拡がりましたね。Yellow Fangとか Cyndie Seui、タイファンクを買ったりしました。あと、大学生の頃にタイのバンドがFlipper’s guitarをカバーしたコンピ(※7)をめっちゃ聴いていました。 建築学科だったので、図面や模型の作業をしながらずっとBGMに流していて、タイに良いバンド沢山いるなーって、当時から気になってましたね。

 

※7「Smallroom 006: Flipper's Players: Tribute To Flipper's Guitar」(2007)

 

 

───特にこれが好きとか、対バンしてみたいとかは?

 

藤村 : 僕はもともと音楽をそんなに掘らないし、詳しくはないんですよ。ただGym and swimとかは普通に聴いてました、という話をさっきGym and Swimのボーカル(※8)と話しましたね。

 

※8 この日の前座バンドのひとつSeal PillowのボーカルはGym and Swimのボーカルも務める

 

 

タイ人がどうしても気になること

 

バンド名は、菅原さんが加入する前の高校時代、3人で組んでいたパンクバンド「淫乱シャムキャッツ」に由来しているのは既にファンの間では知られた話ですが、SIAMESE CATSのことを知ったタイ人が必ず抱く疑問について、改めて訊ねてみました。

 

 

───バンド名をタイの猫であるシャム猫(SIAMESE CATS)にした理由を教えてください。

 

夏目 : 「淫乱シャムキャッツ」は、なんとなく思い浮かんだので、あまり意味はなく。20個くらいの候補を出し、そこから藤村が選びました。(菅原が加入し)この形でバンドをやっていくってなった時に、改めてバンド名を考えて、「淫乱」を取ったシャムキャッツでいこうと。その正式採用の際に、改めてシャム猫の由来を調べたら、「タイ王国(サイアム)とイギリスが国交を結んだ頃、タイ王室からイギリス(領事)に贈られ、ロンドンに渡り、そこから世界に広まった。」とあって。60年代にアメリカで停滞していたロックがイギリスに渡り、ビートルズが復活させ、それが世界に広まった話と重なるようで、いいなって思いました。

 

菅原: 後から台湾で、「夏目」の中国語読みは「シャム(Xiàmù )」って音だって教えてもらって、運命のようなものを感じました。

 

 

 

 

最後に

 

───海外ツアーの楽しみは?

 

夏目 : やっぱり食。美味しいグルメを食べること。スケジュールによっては、到着して文字通り演奏するだけの都市もでてきて。そんな中でも、現地のプロモーターやバンドが連れていってくれる、その土地ならではのご飯は楽しみです。普通なら絶対たどり着かないような場所に連れて行ってもらったり。こないだも中国で、人が普通に生活しているビルの屋上の隅にある、店名も看板もない食堂に連れて行ってもらいました。本当に美味しいからと。

 

あまり買い物はしません。最初は買っていたけど、キリがないなと。家の中のものが多くて大変になって。今は、特に何も買わず、経験や面白い土産話を持って帰るようにしています。

 

 

後編に続きます。

 

【”アジア”で繋がるインディー・ミュージック 連載001】
Siamese Cats (シャムキャッツ)インタビュー in バンコク(後編)

 

 

Photo: Yoko Sakamoto

Special thanks to: 寺尾ブッタ (月見ル君想フ / Big romantic records

 

 

 

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