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北欧〜渋谷系サウンドを昇華させ、バンコクらしい音に再構築。ドリーム・シンセ・ポップバンドSlow Reverse

August 24, 2018

Pad Prik Pong Music 2-2 (PPP1) (PPP2-1
SLOW REVERSE インタビュー
 
タイのインディー音楽シーンの中でも、とりわけぴりっとスパイスの効いたミュージシャンを紹介する、MAZIRU本誌との企画Pad Prik Pong Music。前回のNeuter Lover(写真:左) に続き、紹介するのがSlow Reverse(スローリバース)(写真:右)。ドリーミーでセンチメンタルなサウンドを作る彼らのデビューアルバムは、日本のレコードショップにも入荷・販売されるなど、日本のインディーポップ好きの中で局地的に話題になりました。

 

今回はSlow Reverseから、とっても甘い歌声が魅力のボーカルOil(オイル)のインタビューをお届けします。


Neuter Loverのインタビューはこちら。

 

 
Slow Reverse は2006年にバンコクで結成されたドリーム・ポップバンド2009年に1stアルバム「Slow Reverse」を発表して以来、アナログシンセを多様した浮遊感のあるエレクトロニカサウンドで、国内外のポップスファンから注目を集める。


メンバーは男性1人、女性3人構成。唯一の男性、ギターのU-krist Sirichana (Uze)が主催するインディーレーベルColor Codeに所属する。Srivara Arayawongkul (Oil) 、Pim-uma Sirayanyong (Chompoo)、Kasawan Kungvalpivat (Pang)の女性3人はボーカル及びキーボードを担当。


今回インタビューを行ったのは、透明感のあるルックスと甘いウィスパリングボイスが魅力的なOil。


タイの最高峰チュラロンコーン大学出身で英語を流暢に話し、また自身のセレクトショップを多店舗経営する才女でもある彼女は、音楽・ファッション・自然が好きで、いつもリラックスしながらも好きなことを仕事にしてしまう、まさに今時のバンコクの女の子が憧れるロールモデルのような女性。


そんな彼女に、バンドや日常のこと、また何度も訪れた事があるという日本について訊いてみた。

 

 
───まず、バンドを始めた経緯を教えてください。


OIL: 私の兄とUzeが昔からの親友で、彼らが大学生の時にUzeと兄、他に何人かの友達たちでバンドをしていました。そこで「バンドの中に兄と妹がいたらなんか面白いよね」というUzeのアイディアで、私もバンドに加入する事になりました。それまでキーボードを引いたり、高校ではトランペットを吹いたりしたことはありましたが、プロのミュージシャンになるなんて考えていませんでした。その後、大学を卒業した兄は仕事が忙しくなったことで脱退し、今のSlow Reverseになりました。

 

 

 (Track 1) Slow Reverse『Moving』
収録 :Slow Reverse「Slow Reverse」 ​(album) (2009)


イギリスや北欧だけでなく、日本の渋谷系などにも影響を受けているサウンドと全編が英語の歌詞で、アジアっぽいキッチュな雰囲気が漂うところに今のバンコクらしさが凝縮されている。


───それまではどんな音楽を聴いてきましたか?


OIL: 学生の頃はthe Chemical Brothers、the Cardigans、Airといった90年代に流行っていた音楽を聴いていました。もちろん、Corneliusやピチカートファイブ、Kahimi Karieなどの渋谷系も!今も聴き続けている訳ではないですけどね。学生の頃は、兄とCDをシェアしていた為、4歳年上のUzeとも好きな音楽が被っていたので、簡単にバンドに入っていくことができました。


───影響を受けたタイの音楽などはありますか?Oilちゃんが学生の頃などは、まだバンドに入る女の子って少なかったですよね?


OIL: 確かに10年ほど前は数える程の女性アーティストしかいませんでしたね。今は随分と増えました。なかでも、Yellow Fangとは仲が良いですよ。タイの音楽と言えば、Bakery Music(*1)はよく聴いていて、今でも全曲空で歌えるくらいですよ。


(*1)1994年に設立されたバンコクのレコードレーベル。それまでの大衆的な歌謡曲や商業ポップス一辺倒だったタイの音楽界の中で、Bakery所属のModern Dog、Joey Boy、 Boydなどが洋楽的なロックやR&B、Hip Hopを踏襲した都会的な音楽を次々とリリースし大ヒット。後にインディーレコードが百数十と乱立する、インディーブームの元となった。現在はSONY MUSICの傘下。


───1stアルバムを作った後に、全曲のMVを集めたDVDと、1stの全曲を異なるアーティストがリミックスしたアルバムを収めた2枚組の作品「Illumination」をリリースした時は、驚きました。メジャーなバンドでも、こんなプロジェクトはなかなかできないと思うのですが、リリースまでの経緯を教えてください。

 

OIL: ですよね(笑)これは、全てリーダーのUzeのアイディアです。リミックスの方は、Cyndi Seui、Stylish Nonsense、Yuri’s Nomineeなど、友達のミュージシャンにそれぞれ直接会って「一緒にしない?」と口説いていきました。ビデオの方は、「Monster」(Track 2)のMVを監督 したシラパコーン芸術大学の講師のGabriel Camelinが、彼の生徒たちに課題として制作させたものです。

 

 

 (Track 2) Slow Reverse『Monster』
収録 :Slow Reverse「Slow Reverse」 ​(album) (2009)

 

VJでもあるフランス人のGabriel Camelinが監督したMVは、鉛筆に取り付けられたビデオカメラでドローイングをマクロ撮影した不思議な映像で話題になった作品。1stアルバム「Slowreverse」(2009)とリミックスアルバム「Illumination」(2012)は、タイ・インディー音楽のポータルサイトFungjaiで全曲ストリーミングすることができる。Small RoomやPanda Records周辺の豪華なアーティスト陣がリミックスした楽曲は聴きごたえあり。

 

(試聴)https://www.fungjai.com/artist/SlowReverse

 

 (Track 3) Slow Reverse『Live Action Sequence』
収録 :Slow Reverse「Slow Reverse」 ​(album) (2009)

今では国内外で人気のイラストレーターJackkrit Anantakulの学生時代の作品。


「Illumination」の企画以外にも、印刷や紙の素材の細部までこだわった豪華ブックレット付きのアルバムパッケージ、楽曲をイメージしたアートワークを使用したグラフィクのバンドTなど、戦略的にコントロールされている事がわかる。そもそも、バンドが所属するレコードレーベルcolorcodeは、音楽はもちろん、アートワークやパッケージまで、全てを自身でコントロールする為に自己資金で設立されたものだという(*2)。


OIL: 私たちメンバーは、みんなチュラロンコーン大学(タイの東大)で建築科のインダストリアルデザインを専攻していた事もあり、パッケージや、グラフィックデザインなどのアイディアは3人がそれぞれ出し合っています。


特にアルバムに関しては、他の多くのバンドのように、アルバムから2-3曲シングルを作って、他の曲はあまり 聴かれずに忘れられる、、、というような形にしたくありません。ちゃんと実物のCDを手に取って、大事に一曲一曲聴いて貰えるようにしたくて、全曲のMV とリミックスを作る、というアイディアが出てきました。もちろん、パッケージなどにもとてもこだわっています。


(*2)現在のcolorcodeには、Slow Reverse以外にも複数のバンドと契約を結んでおり、Uzeの別プロジェクトAerolips、60′s-90′sのlo-fiなロックバンドBasement Tape、ギターエクスペリメンタルのWednesdayなどが所属する。

 

 (Track 4) Slow Reverse『Furniture』Remix by Takeshi-XYZ (YMCK/JAPAN)
収録 :Slow Reverse「Illumination DVD + Remix CD」 ​(album) (2012)


───日本でもCDが売られていますが、どんな経緯で話が進みましたか?


OIL: とてもシンプルな話しです。ネット経由で「自分たちのCDショップにSlow ReverseのCDを置きたい」という連絡が来たので、ただ売って送っただけです。簡単でしょ?

 

 
───今まで何度か日本に旅行しているとの事ですが、何かエピソードを教えてください。


OIL:1度目はSummer Sonic目当てに東京に行きました。10年程前の学生時代の話しです。2回目は、ちょうど東日本大震災の時でした。この時は大阪なども行く予定だったのですが、地震が起こり、家族に帰って来るように言われ、仕方なく新しく帰りの航空券を買い、震災の2〜3日後に帰国しました。といっても、楽しいときを過ごしましたよ。ちょうど渋谷にいるときに地震が起こったのですが、日本人の友達が(自分のホテルが遠いので)どこに避難すれば良いかなどの情報をくれたり、周りの人たちが色々と助けてくれたりと親切にしてくれましたし。あとその時、周りに他のタイ人旅行者も多数いたので、助け合ったりしました。


───東京ではいつもどんな事をしていますか?


OIL: 東京は、街を歩いているだけでも面白いですね。いつも歩きながら、古い建物を見たり、空間を見たりしています。あと、路面店よりも、ビルの3階など、上の方にアンダーグラウンドで面白いレコード屋や古着屋があったりして。そういう情報はタイの友達間でシェアしあっています。ビンテージの古着などは値が張るものが多いですが、まれに商品の陰やラックの底に、掘り出し物があったりするのでチェックしています。


───次回の訪日予定や、してみたい事を教えてください。


OIL: 結局、日本ではまだ東京しか行く事ができていないので、次は自然も楽しみたいです。5月末に行く計画していて、安いチケットを探している所です。最近は、ビーチやサーフィンカルチャーなど、リラックスした感じの気分なので、横浜で行われる「GREEN ROOM FESTIVAL」に参加してみようと思っています。日本のバンドとか色々出るようですが、出演者は全く知りません。ただ、海辺でライブを見ながら、のんびりとしたいですね。あと、友達が行っていたので、いつか富士山にも登ってみたいです。
 

 
───バンコクのインディーミュージシャンの多数は音楽とは別に仕事を持っていますが、Oilちゃんの日中の仕事について教えてください。


OIL: サイアムスクエア、チャトチャックマーケット、ラップラオのユニオン・モールで、レディースウェアのセレクトショップを経営しています。自分で買い付けた服やサングラスなどをメインに販売しており、日本人のお客さんもよく来ますよ。音楽よりも、ファッションを通しての方が日本人の知り合いが多いです。他のメンバーの女の子は銀行員をしています。リーダーのUzeは普段何をしているか、誰も知りません......。バンド費用も工面もどうしているのか、謎なんです。


───ファッションなどで、何か日本で好きな物とかありますか?


OIL: 特に好きなブランドがあると言う訳ではありませんが、昔、MUJI(無印良品)がタイに進出する前は、MUJIが好きで、東京に行ったときとか、熱心に通っていました。また、服屋や雑貨屋、カフェなどのディスプレーや空間の使い方などにはインスピレーションをとても受けています。自分のお店の参考にもしていますよ。

 

 (Track 5) Slow Reverse『When The Worlds Collide』live
収録 :Slow Reverse「Slow Reverse」 ​(album) (2009)


Slow Reverseは元々あまりライブを行わないタイプのバンドだったが、特にここ数年は数えるほどしか行っていない。


───最後に。新しいアルバムについて教えてください。昨年からUzeには「2016年にはリリースする」と聞いて楽しみにしているのですが。


OIL: 曲は全曲揃っていますが、現時点で録音は20%もできていません。みんな日中は仕事などで忙しいし、色んなプロセスがあるので。まだまだ時間がかかるので、2017年になってしまうかも。残念ながらライブはアルバムが完成するまで予定していません。

 

(2016年インタビュー)

 

 

 

衣装協力:WWA 
2000 年にメンズ、2001年にレディースのコレクションを発表して以来、人気のバンコク発ハイファッションブランド。機能やジャ ンルの縛り、また名前や文化、社会などの様々な固定概念から脱却したデザインがコンセプト。現在は、都会的に洗練された ミニマルかつアシンメトリーで個性的なデザインのドレスを中心に展開している。サイアムスクエアにある店舗では、食とライフ スタイルを提案するカフェを併設。

 

 


Photo: Yoko Sakamoto
Hair and Make up: Mao Hasegawa
Shoes and Styling: Muzina

Styling Assistant: Hiromi

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