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メランコリックな旋律と美声で紡ぎ出すNeuter Loverのシューゲイザーサウンド

August 20, 2018

Pad Prik Pong Music 2-1 (PPP1) (PPP2-2)​

Neuter Lover インタビュー

 

タイのインディー音楽シーンの中でも、とりわけぴりっとスパイスの効いたミュージシャンを紹介する、MAZIRU本誌との企画Pad Prik Pong Music。第二回目に紹介するのは、Neuter Lover(写真:左) と Slow Reverse(写真:右)。歌声に定評のある女性ボーカリスト2人を迎えてフォトセッションを行いました。

 

まずは、Neuter Loverのインタビューをどうぞ。

 

Slow Reverseのインタビューはこちらから。

 

 
Neuter LoverはApichaya ChaipayomことTUM(タム) によるソロユニット。


TUMはタイの芸大の最高峰シラパコーン大学でアートを学びながら、FUTONのベーシストOH+などと学生バンドを始める。2006年にはタイのメジャーなレコードレーベルSpicy Discから、2人組のユニットAcid Lilyでミニアルバムを発表。神戸に住む日本人男性とインターネットで録音データをやり取りして制作した。


2010年に発表したNeuter Lover名義での1stミニアルバム「I am Neuter Lover」はメランコリックなシューゲイザーサウンド。作詞作曲、ギターやキーボードの演奏はもちろん、グラフィックデザインまで自身で手がけます。


彼女の美声には定評があり、国内外のアワードを多数受賞。現在制作中の2ndアルバムでは、タイの伝統的な打弦楽器”キム”をフィーチャー。

 

 
───2010年頃からNeuter Lover名義で活動されていますが、以前に日本人ミュージシャンと活動していたAcid Lilyなども含め、経歴を教えてください。


TUM: 大学生の頃は、OH+(元FUTONのベーシスト)などの友達と一緒に学生バンドをしていましたが、自身で音楽を作るようになり、Neuter Lover名義として1人で曲作りをスタートしました。それから音楽レーベルなどを廻ったのですが、興味を持ってくれたレコードレーベルSpicy Discは、私を「どういう方向で売ったら良いか分からない」と、話しが宙ぶらりんになっていました。


その頃に、MySpaceが出てくるよりも昔の話しなのですが、当時あったミュージシャンの交流サイトにアップしていた私のNeuter Loverのデモを気に入った神戸在住のミュージシャンからコンタクトがあり、一緒に音楽をしようということでAcid Lilyのプロジェクトが始まったので、結局レーベルとはNeuter Loverとしてでなく、Acid Lily名義で契約することになりました。制作はお互いがそれぞれの国にいるまま、ネットを使って行いました。活動時期は短いですが、Fat Festivalにも出演したりしましたよ。

 

 (Track 1) Neuter Lover  『Cry』
収録 :Neuter Lover「I am Neuter Lover」 ​(EP) (2010)


───当時Acid Lilyも色んな賞を受賞したり、Fat Radio(*1)などでもサポートしてくれましたよね。そこからNeuter Loverとして2010年に1stミニアルバムをリリースするまで、とても制作時間にかかっていますが。


(*1)バンコクのインディーバンドが一同に集まるFat Festivalを主催するなど、90年代〜タイのインディーシーンを牽引してきたラジオ曲。代表者だったTEDさんはカリスマ的な影響力があり、曲がヒットするかどうかは彼次第とも言われており、Fat Radioを去った後もGMM系列の会社でBig Mountain Festivalなどのイベントを主催する。Fat Radioは2013年に閉局。現在は当時のスタッフが集まり「Cat Radio」としてラジオやフェス(Cat Festival)の運営が行われている。


TUM: Acid Lilyもでしたが、日本人はとにかく物事を早く進めたがりますよね(苦笑)普段はグラフィックデザイナーとして働いているので、曲を作るだけでなく、全てのプロセスでとにかく時間がかかります。特にレコーディングやマスタリングなどでは、長い間なぜか上手く行かずに、人を変えてやっと問題が解決する....という作業の繰り返しです。

 

 
───次回作では、タイの楽器キム(Kim)を全アルバムにフィーチャーしているとのことですが、全体的に内相的でダークな印象だった前作からどのように変化した作品になりますか?


TUM: 最初のミニアルバムは、それまでの蓄積というか、自分の中にあったものを出し切りました。次回作では、自分が外から受けた刺激(インスピレーション)を表現した物になります。


まず、キムは8才の頃に小学校で演奏する事があったので、自分の物を持っていました。当時、キムを演奏する事自体は好きだったのですが、他人の曲を演奏する事は好きでなく、あまり楽しむ事ができませんでした。


2〜3年前に清水さん主催のSO::ON(*2)で、ミュージシャンがそれぞれ楽器を持ち寄って何か演奏しようという企画のイベントがありました。当然、ほとんどの人はギターなどを持ってくるはずなので、私は人とは違う事をしようと思い、ずっと使っていなかったキムを部屋で見つけて演奏してみたんです。


音楽を作るときは、頭の中に思い浮かんだものをメロディーにするのですが、Kimは鍵盤の数が限られているし、西洋の音階とは異なるので、作ったメロティーにKimの音を合わせるのは、普通の楽器とは異なるアレンジのようなプロセスが必要になります。


(*2)Koichi Shimizuさんが運営するバンコクのインディーズレーベル「SO::ON Dry FLOWER」。ポストロック、シューゲイザー、エレクトロニカ系の人気バンドが多数在籍。Two Million Thanks、Desktop Errorなどは日本公演も行っている。

 

(Track 2) Neuter Lover『This World Is Wrong』
収録 :2nd Album収録予定
自宅でのデモ録音の様子

 

───これまで影響を受けたタイの女性ミュージシャンなどはいますか?


TUM: 音楽的には影響を受けていませんが、Ornaree ChularatanaやRik Wachirapilan(*3)は、彼女達の姿勢にとても刺激を受けました。どうやって自分らしくあるか、といったような事です。タイの女性ボーカリストに限定して言えば、Mint(Kanitta Wigraisakda)(*4)の声が好きです。実は彼女はもうすぐカムバックする計画で、光栄にもアルバムカバーのデザインを担当させて貰いました!


(*3)どちらも90年代のタイを代表する女性アーティスト。当時は今以上に自分で音楽を作る女性が稀有だった。


(*4)2000年代に活躍したソロシンガー。Cyndi Seui、T-bone、Kai-Jo Brothers、DJ Suharit、DJ Seedといった、タイのレゲエ〜クラブミュージック系のアーティストのライブや楽曲に多数参加。2010年以降はほぼ活動休止状態。

 

(Track 3) Neuter Lover  『หวัง (Hope)』
収録 :Neuter Lover「I am Neuter Lover」 ​(EP) (2010)


───Neuter Loverはマレーシアやインドネシアにも招待されてライブを行ったりと、海外にもファンが多いですよね。


TUM: 今はネットがあるので、時々見つけてファンになってくれる人はいますよね。残念ながら、日本とはまだAireのGinさんのプロジェクト『dessin the world』でしか、関わりがありません。まだ日本に行った事はありませんが、次のアルバムをリリースしたら、今まで知り合った人などに頼んで、絶対に日本でライブをしたいです。

 

 (Track 4) Neuter Lover『Blazing Sun』
収録 :V.A.「
a plan named overlap #3 」(dessin the world)(2013)

タイと日本の音楽シーンを繋ぐ日本人Ginnさんが主催する音楽レーベルdessin the worldのコンピレーションアルバムにも収録。

 

───日本ではライブ以外に何をしたいですか?


TUM: 普通の日本人も知らないような、マニアックな日本のインディーズバンドなどが色々と好きなので、CDショップ巡りをしたいですね。後は街を歩いてストリートカルチャーを見たり....。それに、秋葉! ゆっくり色んなお店を廻りたいです。


───好きな日本の音楽を具体的に教えてください。


TUM: 色々ありますが、映画「リリイ・シュシュのすべて」に出てくる女性シンガーのリリイ・シュシュ。映画や音楽、この作品で岩井俊二が作った世界観などが大好きです。これに出演していたSaruyuの音楽も好きです。最近のバンドでは、凛として時雨。映画で言えば攻殻機動隊が好きです。

 


陽気な音楽、癒し系のゆるいイージーリスニングが多いタイの音楽の中でも、耽美でダークな世界観を作り出すTumは少し異質な存在だ。90年代のUKのトリップホップやシューゲイザー以外にも、日本のビジュアル系バンドやボーイズラブ漫画(BL)を好んでいるという。


───日本のBL同人誌の翻訳(英語ータイ語)もしているようですが、そもそも腐女子になったきっかけは?


TUM: 昔から漫画が大好きな子供でした。子供の頃、1番最初になりたかったのが、バトンやドラムを演奏するマーチングバンドの女の子で、その次が漫画家になりたいと思いました。ただ、当時のタイでは漫画家として生活や活躍ができている人は皆無でしたし、具体的にどういう風にキャリアを始めれば良いのか見当がつきませんでした。結果、現実的に考えて芸大(シラパコーン大学)に入り、その事がグラフィックデザインを始めるきっかけとなりました。今も、ストーリー無しの漫画の絵ようなイラストは描いたりはしています。


また、ボーイズラブなどに関しては、子供の頃、特に自分が好きになる人などに対しては性別などの制限をかけていなかった事があります。好き!ってなったら、女の子でもアイドルのように信仰したり。Clampや清水玲子の漫画などを愛読していて、その辺りを深く掘っていき、自然にヤオイ本なども読むようになりました。またこの頃から、絵を描くのも、男の子ばかりになりました(笑)思うに、ヤオイは現実世界の恋愛の痛みから逃避したり、癒したりする事に役立っていると思います。私にとっては、エンターテイメントであり、セラピーのような物です。

 

(Track 5) Neuter Lover 『Himitsu』(Demo)(2015)
収録 :2nd Album収録予定


新曲のデモは、清水玲子のサスペンス漫画「秘密 -トップ・シークレット-」(花とゆめ)からインスパイアされて作られたもの。Neuter (=中性の、無性の)Loverという名の通り、ジェンダーなどに捉われず、常に奔放に表現するTUM。東洋の音を手に入れ、ミステリアスな魅力が増した彼女のサウンドがどのように進化していくのか楽しみだ。

 

 

次回(PPP2-2)はSlow Reverseのボーカリスト、Oilのインタビューをお届けします。

 

(2016年インタビュー)

 

 

衣装協力:WWA
2000 年にメンズ、2001年にレディースのコレクションを発表して以来、人気のバンコク発ハイファッションブランド。機能やジャ ンルの縛り、また名前や文化、社会などの様々な固定概念から脱却したデザインがコンセプト。現在は、都会的に洗練された ミニマルかつアシンメトリーで個性的なデザインのドレスを中心に展開している。サイアムスクエアにある店舗では、食とライフ スタイルを提案するカフェを併設。

 

 

 

Photo: Yoko Sakamoto
Hair and Make up: Mao Hasegawa
Shoes and Styling: Muzina

Styling Assistant: Hiromi


 

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