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タイ電子音楽のパイオニアSTYLISH NONSENSEにインタビュー

August 20, 2018

Pad Prik Pong Music 1  (PPP2-1) (PPP2-2)​

 

Maziru本誌とwebの連動企画「Pad Prik Pong Music (PPP)」。粉唐辛子(プリック・ポン)炒め(パッ)という名の通り、タイのインディー音楽シーンの中でも、とりわけぴりっとスパイスの効いたミュージシャンを紹介していきます。紙面で紹介しきれなかったMaziru撮りおろしの写真の他に、日本語メディアでは貴重なインタビューもお楽しみください。

 

 

PPPが第一回目に紹介するのは、バンコクのエレクトロニックミュージックシーンの先駆者Stylish Nonsense (スタイリッシュ・ナンセンス)。

 

 

Stylish NonsenseはPOK(Wannarit Pongprayoon/トップ写真:右)とJUNE(Yuttana Kalambaheti /トップ写真:左)の二人からなるユニットで、それぞれがアナログからデジタルまで様々な楽器を使いこなすマルチプレーヤー。日本、アジア各国やヨーロッパなどで数多くのライブをこなす。打ち込みでなく、生でビートとメロディーを演奏するスタイルで、毎回、その場に合わせてがらりと雰囲気が変わるパフォーマンスは、Jazzのよう。今回はその音楽の秘密と、様々な楽曲からも垣間見える日本との関わりについて、2人に話を聞いてみました。

 

 
まずは経歴をおさらい。


POKとJUNEは1993年にラカバーン工業大学の音楽サークルで出会い、音楽の趣味が唯一近かった事もあり意気投合。当時はグランジやオルタナティブロックが流行っていた頃で、Juneがギター、Pokがベース、他のメンバーがドラムなどを演奏するバンドを結成。数年後、就職や進学などでバンドメンバーが2人になる。それから暫くして、2人だけでライブパフォーマンスを行うためにコンピューターを使って試行錯誤した事がきっかけで、エレクトロニックミュージックの創作にのめり込み、1998年にStylish Nonsenseとして活動を開始。


また、同じ大学の仲間だったBear-GardenのJuneを合わせた3人で、2000年にインディーレーベルPanda Recordsを設立。Pop, Noise, Punkとジャンルを問わないタイの商業的な音楽とは一線を画した良質な音楽をリリースし続け、国内外の音楽ファンの支持を集める。また、レーベルの運営やStylish Nonsenseとしての活動以外にも、友達バンドのサポートやプロデュース、またPokはモデルや芸大でサウンドエンジニアリングの講師を、Juneはピアノ講師や時には俳優業などもこなす。音楽、アート、ファッションなどジャンルの垣根を越えて活躍する、バンコクらしいアーティストだ。

 

 

───1998年頃からエレクトロニックミュージックを作るようになったとの事ですが、始めはどんな感じでしたか?


JUNE:楽譜を打ち込めば、欲しい音が出て、オーケストラの音が欲しかったら、オーケストラの音。聴いてこれじゃないと思えば、少しいじれば欲しい音が出る。とにかく欲しい音が出せることに夢中になったんだ。

 


───(バンコクの老舗レコードレーベル)Small Roomからリリースした1stアルバム「Use Your Professor」や、 2000年代初期にPanda Recordsからリリースしているコンピレーションアルバム収録の曲なんかが、まさにそんな感じの音だよね。曲名に「NINTENDO」とか「NINJA」とか、日本っぽいキーワードも出て来るけど、どこから来ているの?


JUNE:特に当時のコンピューターから出てくる音はNINTENDO(ファミコン)のようなチープでレトロな音。色々音を出して、My Own Game/My Own Heroを作っているような感じだった。『ロックマン』や『魂斗羅(コントラ)』のゲーム音楽は聴いて影響を受けたと思うよ。Jazzっぽかったりするよね。

 

 

『Yie Are Kunfu Nintendo』(Track 1) という曲はカンフーを部屋の中でしている感じ。ファンキーなアクションゲーム。up, up, down, down, left, right, left……というコンピューターの音声で始まる、ゲーム音のオマージュのような曲。

 

 (Track 1) Stylish Nonsense 『Yie Are Kunfu Nintendo』
収録 :Stylish Nonsense 「Use Your Professor」(Smallroom Records, 2004)


JUNE: 『Ninja』(Track 2) は昔好きだったアクションゲーム『影の伝説』(1985年/Taito)っていうのがあって、忍者が壁の上を走って行って、ジャンプしたり、敵を倒したり……今ではゲームの音ははっきり覚えてる訳じゃないけど、この曲は日本というか、アジアっぽくてミステリアスな音になっている。今もよくライブでこの曲の要素(エレメント)を使うよ。忍者になりたい時とか。


POK:僕たちは、とにかく音を出して、聴くことで、音楽を学んできた。それから色々アナログシンセサイザーや色んな機材を集めていった。当時、電子音楽を作る人はコマーシャルな音楽などでは一部あったけど、ライブでは音をバックで流すだけ。ライブ(生)で演奏する人たちは他にいなかった。
 

 (Track 2) Stylish Nonsense 『Ninja』
収録 :Stylish Nonsense 「Use Your Professor」(Smallroom Records, 2004)


「Yie Are Kunfu Nintendo」(Track1)と「Ninja」(Track2)も収録されている1stアルバムのタイトル「Use Your Professor」はコンピューター越しに見たふわふわヘアのJuneが、まるで映画に出て来る教授のようだった事に由来している。ちなみに彼は大学卒業後、暫くの間、この頭のままで大手日系車メーカーでコンピュータープログラマーとして働いていた。
 

 (Track 3) Meawer『 Wasabi or Green Tea Ice-Cream? 』
収録:コンピレーションアルバム「Panda Scream」(Panda Records, 2004年)

 

現在、30代後半の二人。(*1) 彼らと同世代のアーティストの作品を見渡すと、日本で生まれ育った私たちの感覚に近い物を覚える事が多い。この世代のクリエーターに話を聞くと、決まって、ほぼリアルタイムで日本と同じファミコンのゲームに熱中していたり、漫画を読んだり、渋谷系やブリットポップを聴いて育っている。(*1: 2015年取材時)


『 Wasabi or Green Tea Ice-Cream? 』はインタビュー中に出てくるStylish Nonsenseの前身バンドMeawerの代表曲。くせになる脱力系ポップス。June曰く、昔、緑茶わさび味のアイスクリームが本当に売られていたんだとか。少し渋谷系を彷彿させる無国籍な音がまさに00年代のバンコクの音という感じ。


───色々ある中で、 一番最初にはまった日本の物は?


JUNE:『ドラえもん』。土曜の朝、日曜の夜、平日の夕方などに放送されてたり、ビデオなどでいっぱい観ていたよ。その後はドラゴンボール。悟空が子供の頃(天下一武道会まで)は面白かったよね。ゲームはアクション系が好きだった。


POK:(ファミコンの)『ドラゴンクエスト』! 当時のファミコンはカタカナのパスワードを間違えて打ったらセーブできなかったんだよね。

 

 

───最近の気になる日本の物は?


JUNE:アニメ『僕は友達が少ない』。随分アニメを観ていなくて、最近また見始めたんだけど、今は昔の物と比べて随分人間関係が複雑だったり、子供の物じゃなくなっているね。後はきゃりーぱみゅぱみゅ。楽しいし、興味がある。ちょっと前のなら、全部が良いって訳じゃないけどHALCALIとか。


───手塚治虫とかあだち充の漫画がPanda Studio(POKの自宅)にあるけど、最近の作品ではどんなものに興味があるの?


POK:映画『風立ちぬ』と『Little Forest』が面白かった。漫画なら『玄米せんせいの弁当箱』。大人になって、ちょっと興味が変わってきたね。今はテレビに向かってゲームをする時間がないけど、最近は娘の為に『ドラゴンクエスト5』を選んで、ipadで一緒にプレイをしたよ。
 

 
───日本に行った回数は?日本ではどんな事をしていますか?また思い出なども教えてください。


JUNE:ライブで2−3回、他にもプライベートで行ったり。計4〜5回くらいかな。色んな種類が置いてある楽器屋さんや、CD、レコードショップ。タイでは売れるものしか売っていないんだけど、日本は本当に何でも揃っているよね。京都を旅行した時は、清水寺に行ったり、嵐山の辺りとかふらふら歩いて、たまたま見つけた客がいなくてとっても静かな禅寺とか神社とか。お抹茶と和菓子を食べたり。 


POK:4回。一番最初に日本に行った時はDisc Unionで興奮したよ!日本は好きで、いつもエキサイティング。家族で旅行した時は自然を満喫したよ。箱根では温泉に行ったり、桃源台ルートをハイキングしたり。娘と一緒に楽しんだよ。タイにも自然もあるけど、暑いから、あまり長時間歩いたりできないしね。
 

 (Track 4) Stylisn Nonsense VS Gapi T-bone & Photo Sticker Machine

 

スタジオ収録の作品といえば、10年以上前にアルバム1枚とまたコンピレーションに収録されている数曲、またメジャーアーティストのリミックスが数曲あるのみ。ライブはもちろん素晴らしいが、デビュー当初に比べミュージシャンとして随分成熟した現在の2人がスタジオに入ってアルバムを作るとしたらどんな音になるのかも気になる所。数年前から何度もしているこの質問を、今回改めてしてみた。


───新しいレコーディングアルバムは作らないの?


POK & JUNE: 今はライブにしか興味がない!


POK : ライブはリハーサルや打ち合わせは一切せず、いつもその場の雰囲気とかエネルギー、フィーリングをそのまま音にする感じ。始まってみるまで、どうなるか分からないのが面白いんだ。使用する楽器や機材はステージによって様々だけど、基本はメンバーは2人だけだから、大体JUNEがリズム、僕がメロディーを演奏する役割になってるよ。

 


───海外のファンなど、なかなかライブを見に行けない人もいると思うんですが、その人たちのためにも何かリリースしたりとかは?


JUNE:ライブをレコーディングするのはいいよね。自分の録音機材が壊れてるから、誰か代わりに録音してくれる人がいたらいいな。


POK:今はインターネットで簡単に音楽を発信することができるし、死ぬまでに聴ききれない位の良い音楽で溢れ返っているから、これ以上人を煩わせたくないんだ。Stylish Nonsenseのライブ映像は色んな人がアップロードしているし、ライブのエネルギーを感じられる物もあるよ。それでも充分じゃない人は、FacebookでStylish Nonsenseをフォローして、機会があれば、生でライブ観に来てね。
 

 (Track 5) Stylish Nonsense LIVE:『Ninja』
 

 

 

衣装協力:SODA

シンプルでシックなTシャツ制作から始まった「発泡性」を意味するSODAは、 1979年に設立。現在では全年齢の女性をメインターゲットにファッションデザインが展開中。 エンポリアム、サイアムセンター、セントラルワールドなどに直営店を構える。

 

 

 

Photo: Yoko Sakamoto

 

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