• White Facebook Icon
  • White Instagram Icon
  • White YouTube Icon

© 2018 by MAZIRU  記事画像の無断転載禁止  ห้ามทำซ้ำภาพบทความโดยไม่ได้รับอนุญาต

海辺の町フアヒンで暮らす人気アーティストLOLAYのアトリエを訪ねて。- LOLAY特集1

August 5, 2018

LOLAY特集1  (特集2)(特集3

 

LOLAY(ローレイ)は、タイのアート・クリエイティブ界では誰もが知る人気イラストレーターであり、海外にもいくたびと招聘されるタイを代表するアーティスト。時には音楽から映像まで、さらりとマルチな才能を発揮し人々を楽しませる彼の不思議な魅力に迫るため、バンコクから南西に約200km、車で2時間の場所に位置する小さな海辺の町フアヒンにある彼の自宅兼アトリエを訪ねた。

 

 

「のらりくらり」という意味のタイ語「ローレイ」を名乗るタイ人アーティストを、あなたはご存知だろうか?

 
透明感のあるカラフルな水彩画、アクリルで描かれた眼光鋭い人物画、「気持ち悪い」と「かわいい」が同居するモノクロ線画、スプレーで描いた壁画、巨大な立体作品、プロダクトデザイン、映像、音楽、SNS の投稿画像……。書き出したらきりがないくらい多様な手法で作品を発表しながらも、全ての作品に漂うポップさと風通しの良さ。その空気感は、一体どこからやってくるのだろう?

 

 

イサーン(タイ東北地方)生まれバンコク育ちの46歳。結婚し、家族が増え、バンコクからフアヒンに活動拠点を移した現在も進化を続ける、ローレイの話。

 

 

昼は家族と遊んで、夜は仕事の時間

 

ローレイの自宅兼アトリエがある街、フアヒンの海

 

ローレイの日中は、とてもゆったりとした時間が流れている。朝起きて、家族で庭の植物に水をやり、みんなで朝食。それから車で街に出かけて、友達に挨拶して昼食。午後には自宅で一息。夕方に公園に出かけ、ランニングをしたり、息子と遊んだりしてから夕食。そして、20 時頃から日付が変わる24 時頃までが「仕事」の時間。その4時間ほどで集中して一気に絵を描く。


「子供が出来てから一日の時間の使い方が変わったんだ。すべての時間を好きな様に使えなくなり、時間の使い方に目的を持つようになった。アイデアを描き留められるようにスケッチブックを持ち歩き、いつでも描くようになった。おかげで描くのがとても早くなったよ。」と、彼は笑った。

 

「フアヒンに引越して生活が変わったよ。バンコクは、渋滞や仕事、人が多い場所。どこを見てもいっぱい詰まっている。なんでもスケジュール調整をしていつも仕事のことを考えていないといけない。なんに対しても『決める』ことが必要だ。友達と会うのも時間を決めて……。だけどフアヒンにいると、空が広くて隙間がいっぱいあって、時間が自由。」

 

ローレイは取材中も事ある度に息子ロマンと遊んでいた

絵と音楽はすごく似ている。どちらもリズムや休符があって

 

 

いつでもどこでも絵を描いているローレイ。会話に集中しているにもかかわらず、常に何かを描いている。彼のリズミカルな手の動きに気を取られているこちらに気付くと、「絵を描いていると話しやすいし、アイデアもどんどん出てくる。描いていると安心するんだ。」とつぶやき、手を動かし続けた。

 

「今描いているのは仕事?」と尋ねると、「これは遊びだよ。僕は1日に30分くらいギターやベースを弾く時間があって、リズムやコード、休符みたいな決まりを自分で作って同じフレーズを繰り返すんだ。そういうリズムとか休符とかって絵の中にもあって、線であったり丸であったり、はらいであったり。絵と音楽はすごく似ている。楽器の練習が絵にもいかされてるんだ。絵も楽器も繰り返すことで発見があったりコントロールできるようになる。」

 

ローレイの自宅ではずっと音楽が再生されていた。時には楽器を手に取っておもむろに演奏を始める

 

 

作品は生活の鏡みたいなものなんだ

 

ローレイの作品置き場
 

ローレイの絵は、一見すると爽やかな印象でかわいいものが多いが、その中には性的だったり、内臓や骨のような気持ち悪いモチーフが使われているものが多数ある。そして、目が印象的な作品が多い。その理由を尋ねてみた。

 

「年をとり息子が産まれてから、自分をコントロールできるようになり、ライフスタイルがどんどんクリーンになってきた。だけど、自分以外の世界を見わたすと、戦争や事故が起こっている。ホームレスや飢えた人、寂しい思いをしている人達がいる。そういう現実への感情を失わないために、ダークな表現を意識的に取り入れている。死はみんなに訪れるものだし、そういう事への感情を持っておきたいんだ。だけど、今の生活の中には子供のかわいい物があり、動物がいたりする。意識的にダークな表現を作品でしていても、生活で目にするかわいいものがそこに入ってくるんだよね。作品は生活の鏡みたいなものなんだ。」

 

「目はね、かわいくてキレイなものを表現している。飢えた犬や戦争で辛い思いをした人でも、目そのものは本当にキレイだと思うんだ。ただ、その奥深くには、悲しみや辛さなどがある。」

 

去年末に大阪のdigmeout ART&DINER で開催された個展には「weapon」というタイトルがつけられていた。ミュージシャンの武器は楽器、画家の武器は絵の具など、それぞれに武器があるというのがコンセプトだ。

 

風景には木があったり、ゴミがあったり、 そこには意味があったり、無かったり

 

BTSラチャティウィー駅前の空き地に出現したモムメム 

 

バンコクのBTSラチャティウィー駅前。雑草が生い茂り、長い間放置されている空き地がある。そこに突然現れて、いつの間にか消えていた印象的なオブジェがあった。" モムメム(*1) " という名のローレイの作品だった。

 

「モムメムはゴミから産まれて来たっていう設定。あの場所はゴミだらけなのに誰も気にかけない場所だった。そこにモムメムというキャラクターが出現することによってみんなの意識をごみに向けてほしかったんだ。みんながゴミと思っていても実はネズミの棲家だったり、いつのまにか植物が生えてきたりするんだよね。モムメムは植物で飾られてしまったけど、本当は骨組みのまま放置して自然にまかせておく方がコンセプトに合っててよかった。」

 

*1「ばっちい」(汚いといニュアンスの幼児語)を意味するタイ語。

 

 

 「コンセプトは説明しなくても、見た人が『なにこれ!?』ってびっくりするくらいで良くて。風景には木があったり、ゴミがあったり、そこには意味があったり、無かったり。自分はそういところに何かを考えることが好きだし、見た人がそんな感じで何かを感じて考えてくれればそれでいいんだ。なぜここに突如現れたのか? って、それぞれが考えて気付いてくれればいい。深く考えて作ってはいるけど、同時に楽しんでもいるので、楽しい部分を感じ取ってくれるだけでもいいんだ。シリアスになりすぎると病気になるしね(笑)。」

 

Photo: Yoko Sakamoto / Qotaroo (モムメム)

 

Please reload

Related Articles
Please reload