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「LIVE BONE」バンコク公演後、森山開次×ひびのこづえ×川瀬浩介の3人に話を聞いてきました。

August 8, 2018

「LIVE BONE」は、体のパーツをテーマにした"ひびのこづえ"の衣装、リズミカルかつ重厚感のある"川瀬浩介(かわせ こうすけ)"のサウンド、そして"森山開次(もりやま かいじ)"の圧倒的な身体表現が一体化したダンスパフォーマンス。日本で2010年にスタートし、2016年7月にはバンコクのBACCでも開催された。初のバンコク公演となる3人に公演後インタビューしてきました。

LIVE BONE in Bangkokの公演の様子はこちらから。

観客と出会い、共に作り上げると言う森山開次さんに話を聞きました。
 

 

───その日によって演出は違うんですか?

 

森山: 動き自体は決めていません。もちろん、音楽のこともあるので、大きな流れは決めています。細かい動きは即興で、その場の状況と感覚で動くようにしているので、回によって多少演出も変わってきます。子供とコミュニケーションする場面は特に、子供の反応によって変わってしまいます。子供には大概拒否されますけど……(笑)ノってくれる時もあるし……そこは毎回毎回ライブと思ってやっています。その日、その場所、そのときのお客さんと出会いながら、コミュニケーションをとり、最後まで作っていく。その時々のちょっとした違いを楽しんでやる演目です。

 

───本日(※1)の客席の反応はよかったですか?

 

森山: 毎回、客席とコミュニケーションをとって場面をつくっていくので、お客さんに拒否されようが、ノリが悪かろうが、よい悪いはなく、僕にとっては最高です。「今日がよかった」とかないんです、実は。今日のその子がノれたとしてもノれなかったとしても、その時のその子で立ちあってくれたことが尊いことだと思っています。今日はたまたま座っていた子をトイレまで連れて行って、「泣かれたらどうしよう」とか思いましたが、ずっと我慢してくれていました。最後は逃げるようにして行っちゃたので、やっぱり辛かったんだ~とか思って。そういうのが、それぞれかわいいし、ちょっと大きな男の子は多少強引に舞台に連れ出しても大丈夫だ、多少恥かいてもいいだろうみたいな軽いノリでむきあっていますが、とても楽しかったです。

 

※1  7月3日の公演。日曜日で客も立ち見が出るほど。森山さんの舞台を土曜日も見た方から「昨日とは子供たちの反応が全く違って、今日は今日でまた違う舞台に見えました」と聞き質問しました。

 

 

───LIVE BONEは子供向けの舞台に思うのですが、子供に対しての表現やメッセージとかあったりするんですか?

 

森山: この作品はもともとNHKの「からだであそぼ」の1コーナーから生まれたんです。その番組で僕は子供たちに体を使って動く楽しさを伝えるというコーナーを担当していました。30~40秒くらいの時間で猫などの動物や、はたまた電化製品などを体で表現をすることに挑戦していました。はじめはわかりやすいゾウさんとかやっていたんですけど、あれもやってみよう、これもやってみようと続けていくうちに、最後に辿り着いたのが内臓だったんです。やるものがなくなってしまい内臓まで行っちゃって(笑)その内臓のコーナーを一緒につくったのがこづえさんと川瀬さんなんです。コーナーは大人気でしたが番組は終わってしまいましたが、3人とももったいなく感じていて、子供に対してのアプローチの場をなんらか作っていこうってことで、この作品ができたんです。

 

子供たちに向けてのメッセージは、最初は「体を使って遊ぼう。体を使ってこんなことも表現できるんだよ。体ってすごいね。」ってことを見せるのが一番の目的でした。体ってすごく奥が深くて知らないことがたくさんある。勝手に臓器が動いていたり、知らないうちに細胞が生まれ変わって、僕たちを生かしてくれていたり……。動けば疲れるし、痛みにもなれば、気持ちよさを実感もできる。踊りをやっていると、そんな体の不思議をとても実感することがあります。

 

体を動かすことはバーチャルではありません。動かす力もいるし、それに対して感覚も返ってくる、息が切れるってことを実感できる。子供たちには踊りを通して、自分の体をより感じて欲しい。踊りはただの運動ではなく、イマジネーションが加わります。アイデア次第でこんなことも表現できるんだって知ってほしい。例えば「電子レンジ」を表現しようと思ったら、「う~ん、うまくできないけど、回ってみよう!」とか、アイデアをいろいろ考えたり、体で遊び、動いてみる中で、表現ができることを伝えていけたらなって。体は年を取ってもずっと共にあるものだから、子供だけでなく大人にも伝えていけたらなと思います。LIVE BONEでは骨をモチーフにしていますが、生まれて、そして死んでいくということが表現されています。舞台では子供たちと楽しくやっているように見えて、中身はとても深いテーマをもっているので、子供だけではなく、お父さんもお母さんもおじいちゃんもおばあちゃんも一緒にこの場を共有して、体と生命いうものを実感してもらえたらなと思います。

 

 

───コンポラリーやアート、ファッション、音楽などタイの今をどう思いますか?

 

森山: タイのみなさんの事情をまだわかっておらず……。ただ、まだアートの表現活動としてのダンスが盛んではないと聞きましたが、きっとすごい表現者が隠れているんだろうと思います。まだ、数日来ただけなので、よくわからないことがたくさんありますが、きっと面白い人がいるんだろうなって。

 

街中の雰囲気、活気に触れて、面白いものが生まれてくるんだろうなって感じます。初日には、ブレードランナーみたいなところだなと思いました(笑)。とても古く感じるものと最新のものが混在していて……高層ビルもあれば、屋台もある。なんだか、立体的な街で。何かが突然現れそうな雰囲気をもっていて、エネルギーがあるなって。これからも東南アジアと何かつながるだろうと感じていて、もっとミックスしていければいいなと思います。バンコクの街に触れたときの熱いものをずっと持っていたいなと。

 

 

続いて、体をテーマにしたLIVE BONE衣装担当のひびの こづえさんにお話をお伺いしました。

 

 

───LIVE BONEは子供向けの舞台に思うのですが、子供に対しての表現やメッセージとかあったりするんですか?

 

ひびの: 基本的には、子供向けと思っては作っていないんです。人間の生きていることや死を迎えることをメッセージとして作っています。それは子供でも大人でもわかることで……子供でもなんとなくわかることかなって思っています。大人向けっていうのもつまんないし、子供向けっていうのも違うと思っていて、誰が見てもわかるというものを作っていきたいと思ってできたのが、このLIVE BONEなんです。

 

───森山さんが纏っていた衣装の柄は、きっと血管だと思うんですが、なぜ黒だったんですか?

 

ひびの: そうです、血管です。実はいろいろなバージョンがあって、黄色、ピンクやブルーもあって、一通りあります。赤もあります。でも、何回かこのパフォーマンスをやっているんですが、一番黒がシンボリックと感じ、最近は黒に定着しています。LIVE BONEには森山さん以外にもダンサーが出演する「劇場版」というバージョンもあるのですが、もっと大掛かりで、そちらには血液の大きなオブジェもストーリーの中に出てきます。黒は他の衣装にも対応しやすいというのもありますね。白も使ったりしますが、とにかく、全てを固定しないパフォーマンスなので、そのときの空間によって、イメージを変えます。

 

───森山さんが被っていたガイコツは、なぜ人間じゃなく動物なんですか?

 

ひびの: 別に、人間だけが内臓や骨があるわけではないので。パフォーマンスとしてユニークで面白い動きに見せられるかと思い、作りました。尻尾が長かったりね。人間だと動かしてもあんまり面白くないので、そんな軽いノリです(笑)。

 

 

───だから、舞台に配置されていた手や足、顔のパーツのサイズもバラバラだったんですね。

 

ひびの: そこはあんまり説明するものじゃないんです……(笑)。

 

───コンポラリーやアート、ファッション、音楽などタイの今をどう思いますか?


ひびの: まだ、タイのことそんなにわかっていないんです。ただ、もう何年も前になりますが、演出家の野田秀樹さんがタイの役者さんと一緒に「赤鬼」という作品を日本で上演したんですが、そのときの舞台の衣装は私のパートナー(日比野克彦さん)が担当していました。そのとき、タイの人たちと触れ合う機会がありました。周りの人も言っていたのですが、タイの人は、とても前向きで、笑顔がかわいく、ものごとを楽しみながらやるし、一生懸命だと。野田さんも日比野も言っていて、私もそう感じていました。そのことをすっかり忘れていたんですが、今回きて、バンコクのスタッフの人たちと会って、いざ始めようかってときに、その昔感じた印象が蘇ってきたんです。仕事を一緒にしても楽しいし、ソフトだし、前向きだし、誠実だし、なんのストレスも感じずに仕事ができた。そういう意味では、素敵な国だなって思います。

 

───日本との観客の反応の違いは何か感じましたか?

 

ひびの: 日本の場合は、人種が限られていますが、ここは日本人、タイ人、ヨーロッパの人など人種がバラバラなので、いろんな反応があって、面白かったです。だから、いろんな場所でやりたい。開次さんには、もっといろんなひとに絡んでいって、もっと舞台をやってもらいたいです。舞台脇から見ているとあの人に絡んでほしいなってあるんですが、開次さんはいっぱいいっぱいなんで(笑)。

 

───今後、東南アジアでやってみたいこととかありますか?

 

ひびの: 東南アジアに限らず、LIVE BONEをいろんな人に見てもらいたいですね。ダンスって国境を越えられると思っているので。言葉で音がつくられていますが、リズムとか、ビジュアル的に通じ合えることもあるので、国境を越えられるパフォーマンスにしていけたらなっていうのは、夢ですね。

 

商品を作ったり、コマーシャルの衣装を作ったりもするんですが、ダンスのコスチュームを作るのが一番楽しいですね。服を作るのって人が着るから面白い。ウィンドウに飾られたり、置かれていたり、テクニックがすごいドレスであっても人が着ないと淋しいし。一番美しく鍛えられた身体の人が着て、音楽にのって、みんながそこを見るというのは、やっぱり服を作っていて一番楽しいところです。開次さんが50歳になっても出来るって思っています。そのときにあった表現に変えていくことも出来ますし、ここが終わりじゃない。「成長していく舞台」として続けていきたいんです。ぜひ、バンコクで劇場版をやりたいですね。

 

 

集まってきた人たちが一緒に作て、表現者と一緒に楽しむサウンドづくりを楽しむ川瀬浩介さんに聞きました。

 

 

───LIVE BONEは子供向けの舞台に思うのですが、子供に対しての表現やメッセージとかあったりするんですか?

 

川瀬: 僕自身も音楽だけじゃなく、アートの作品を作ったりしているんですが、キャリアがはじまったときに、音楽と光が連動する装置を作ったんですよ。すごくハイスペックで大人向けの作品でした。そのときになんとなく、これから僕はキャリアを通じて、大人向けの人生経験をたくさん積んだ人だからこそわかるような……例えば、抽象画をみたときに何か感じるというのがわかるのって、大人だけな気がするんですね。そういうことを音と光を使ってやっていくのかな~って思ってたときがあるんですよ。

 

その数年後、僕の代表作になった、ベアリングの中に入っている地球上で一番丸いと言われる球を使って、球が跳躍して、音楽を奏でていく「ベアリング・グロッケン」という作品を作りました。そのときに、3歳くらいの子供たちが、それを見て熱狂してるんですよ。僕の目の前で。何が起こっているのか最初はわかりませんでした。その作品の展示期間中、その様子をずっと観察していたんですが、価値観が変わった気がします。大人向けのことをやっていくだろうなと思っていたんですが、むしろ経験のない子供達に、伝えるっていうことのほうが、難しいことをやろうとしているんじゃないかって思ったんです。

 

子供向けだから簡単だってことではなく、純真無垢な彼らに伝えることは、大人になった僕たちがやる方が大変なことで、むしろ価値があることなんじゃないかって、思ったんですね。

 

ま、その後、紆余曲折ありまして……(笑)。開次さんとこづえさんと出会ってからは、もうこれは定めとしか言いようがないというか、このLIVE BONEまで導かれるようにやってきました。もともとコンテンポラリーダンスとかの音楽は好きだったんで、いつかこういうチャンスはほしいなと思っていました。開次さんの音楽とかもできたらいいな~って思ってたわけですよ。その中でイメージしていたのは「いわゆるコンテンポラリーダンスの音楽!」というものを想像していたので、いわゆるコンテンポラリーダンスの音楽をいろいろみたり、聞いたりしました。でも、物足りなくなっていくんですよね。何が一番嫌かっていうと、美術館にいくとアートがいっぱいあるんですよ。でも「美術館に行ってアートを見てもつまんない。コンテンポラリーダンスを観に行っても、コンテポラリーダンスがある。つまんない。」いわゆる判を押したようなものが目の前にあるって感じがして、気持ちが下がっていきました。

 

そんなときに、NHKの「からだであそぼ」の仕事の話をいただいたんです。それが今のLIVE BONEにつながっていきました。

 

 

大人も子供も同時に楽しめる舞台ってあるようで、あんまりないんですよね。でも、LIVE BONEを初めて上演したときに、本当に子供から大人まで楽しんでくれて……「ほら、見たか」って思ったんですよ。これがやりたかったんだって。格好つけるのは簡単なんですよね。コンテンポラリーダンスっぽいものをやって「ヨーロッパの人のムーブメントを参考にしてます! 音楽も最新のトレンドを取り入れてます!」そんなものは全て取っ払って、集まってきた人たちが一緒に作て、表現者と一緒に楽しむ。

 

親が子供のために一緒に来たりするけど、一緒に見てる大人のほうが集中して、いいもの見たな、楽しめたなって思ってもらえる……「わぁ、子供楽しんでくれてよかったな。でも、あれ、私の方が泣いてる?」みたいな状況が作れたらいいなって思っていたことを達成できました。ただそれは日本で達成してきたことであって、今はそれが海外でどこまで通じるのかを楽しんでるところなんです。

 

 

 

 

Photo: 国際交流基金バンコク日本文化センター提供 / YOKO

 

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