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Ginn (dessin the world) インタビュー(後編)【”アジア”で繋がるインディー・ミュージック 連載003】

August 9, 2019

【”アジア”で繋がるインディー・ミュージック 連載003】

Ginn (dessin the world) インタビュー (前編)(中編)(後編)

 

 

バンコクで音楽レーベルを運営し、日本とタイのインディー音楽界の架け橋となるサポートを活動を続けているGinnさんにロングインタビュー。

 

3部構成の最後となる本記事では、「タイにおける日本の音楽の立ち位置に対する危機感」と、その先のための課題について。そして自身の新バンド「Faustus」の話を語って頂きました。

 

 

Ginn (dessin the world) インタビュー(前編)(中編)はこちら。

 

 

 

 

 

 

アジア・タイから見た、日本に感じる危機感

 

 

———Ginnさんは「タイにおける日本の音楽の現状に対する危機感」についてSNSなどで発言されていましたが、海外にいるからこそ見えている、日本の音楽界に感じている危機感を具体的に教えてください。

 

Ginn:「アジア進出が遅れることで、日本の音楽がタイ、ひいては、アジアの音楽シーンから取り残されていくのではないか」という危機感です。当然ですが、アジア進出をビジネスと捉える場合、まず聞かれるのが「それって儲かるの?」って話。(進出先である)当地でのアーティストの知名度がダイレクトに集客や物販に影響することや、GDPが異なる故の相場の違いといった難関がいくつもあるので、そう簡単に「儲かる」というわけではありません。難しいことではありますが、「すぐには儲からなくても、将来のための種まきとしてやる」と判断ができるところでないと、アジア進出を決断し辛いのだと思います。

 

 

 

 

Ginn:けど、それって費用的なリスクや、社内での承認作業があるでしょうから、そういったことをスピード感を持って決断ができる会社はなかなか多くはないと思います。進出するかしないか、あれこれ考えている間にも他のアジアの国は繋がりだしていて、日本はそのアジアの横繋がりからどんどん取り残されて行くのではないだろうか、と。ただ、ここ1~2年ほどで、アジアに目を向け始めた日本の音楽関係者や、日本とアジアの音楽を繋げる活動をしている人たちと知り合うようになり、そういう人たちと手を繋いでいけば、取り残されることなく、日本とアジアの音楽交流を深めていけるのではないか、といった希望を持つようになりました。

 

 

Left→Right:Ginnさん(dessin the world / Faustus)、Putさん(Wednesday)、VANさん(Faustus)。Wednesdayは、Ginnさんもサポートドラムを務めるバンド。Cat Radio 主催のCat T-Shirtにて。

 

 

Ginn:あとは「そもそも日本のカッコいい音楽について、あまり知られてないのではないか」という危機感。去年はタイ人の訪日旅行者数が100万人を超えたり、日本食はもはやブームでなく定番になっていたりと、タイはとても親日な国ではあると思います。ただ、ことエンタメ分野に関しては……。例えば、タイでジャパンフェスをやっても、取り上げられるのってアニメとかアイドルとかコスプレとか……あれはあれでやっててもらえばいいのですが……日本にはカッコいい音楽もあるんだ、ということを、これからも発信し続けていきたいです。

 

 

Ginn:文化の力は、やっぱり強くて。10年くらい前に(タイで)韓流旋風が吹き荒れていた時に思春期だったタイの子たちは、K-POPやドラマなどにどっぷりと影響を受け、韓国のコスメやファッションに興味を持ち、韓流ブームがより大きくなっていった。そのときの良いイメージを持ったまま育ったタイの人たちは、韓国びいきになっている気がしています。少なくとも、日本びいきではない。なにも「日本びいきになって欲しい」というわけではないのですが、日本にはアニメやアイドルばかりでなく、カッコいい音楽があることを知ってもらい、音楽という文化の力で、日本を、日本の音楽を、好きになってもらいたい。ただ、文化の力は強いけれど、広がるまでには時間がかかると思っています。だから今の世代にはもちろん、次の世代、さらにその次の世代と、継続して発信していきたい。将来に渡って日本のカッコいい音楽を広められるか、といったターニングポイントが、この1~2年、つまり、今年来年なんだと感じています。

 

 

 

「危機感」を共有し、動き出している事例も

 

 

日本とタイの音楽を繋げる活動として多岐に渡る案件に関わる中、上手くスピーディーに進んだ事例として、こんなエピソードを語ってくれました。

 

 

Ginn:毎年、福岡で9月に開催されている「ASIAN PICKS」(※1)という、アジアの各国から招かれた新進気鋭アーティストのライブや、エンタメ業界人の特別講演などがある音楽カルチャーイベントがあるのですが、去年はそこにお招きいただき、タイからSafeplanetを連れて参加してきました。

 

※1 アジアの音楽市場・販路の開拓を目的に、福岡での新たな音楽との出会い・可能性を推進するイベント。「アジアの音楽と福岡の未来」がテーマ。2017年にはタイからBig Mountain Music Festivalの総合プロデューサーTedさん(Yuthana Boonorm)がエンタメ業界関係者枠として招聘された。

 

タイCat Radio 主催のCat T-Shirtでトリの一つとなったSafeplanet。朝霧JAM'19出演予定。ファーストアルバム「Safeboyz」の日本リリースも10月に控える。

 

 

Ginn:そこで、Summer Sonic(サマソニ)を主宰しているCreativemanの清水社長にお会いする機会がありました。初対面だったのですが、タイにおける日本音楽の現状についての危機感を一方的に熱く語ったところ(笑)、「よし、じゃあ、なんかやろうよ」ということに。第一歩目として、「タイでのサマソニチケットの販売」を提案しました。身近なタイの音楽関係者がこぞってサマソニに遊びに行っているのを目の当たりにしていましたし、既に台湾やシンガポールではチケット販売されていたので、タイでもどうかなと。その後、担当の方にタイのチケット会社をいくつか紹介し、そのうちの一つと手を結ぶことになり、今年のサマソニのチケットはタイ国内で購入できるようになりました。(※2)サマソニにとっても、サマソニに参加したいタイの方々にとっても、双方にとっていい第一歩になったのではないかと思います。また、日本でこんな大きな音楽フェスがあるということを改めてタイの方々に知ってもらえる機会にもなったかな、と。

 

※2 日本の大手チケット販売会社で取り扱うチケットは、日本国内でのみ発券できるシステム。今年のサマソニのチケットは、タイのチケット販売会社「Ticketmelon」が取り扱ったことで、タイ国内からも購入が可能となった。(既にソールドアウト)タイ語・英語などの言語が選択できる同サイトでは、タイバーツ建でのカード決済や現地コンビニ支払いなどが選択できる。

 

 

 

40〜50年後のために、始めたこと

 

「本当にやりたい自分の音楽」と「好きな音楽をサポートする」という活動を続けるため、音楽以外の仕事を本業とするGinnさん。これまで手がけた自主企画のイベントは、自身のルーツでもあるハードコアの「D.I.Y.精神」を根底に、スポンサー無しで続けてきました。ただ今年になり、自分の気持ちに折り合い付けながら、マネタイズにチャレンジし始めたと語ります。

 

Ginn:去年までは、ほぼ何も貰わずにやっていましたが、今年はマネタイズみたいなものを一つのテーマにしています。先ほどの話のように遠い先を考えた時に、僕の代では終わらないんですよ。次の世代、さらにその先の世代、となっていくと、僕1人では無理な話で。好きなことをやって、色んな面白い友達とか人脈とかが増えてって、それで生活できるほどでは無いかもしれないけれど、「好きなことをやって、お小遣いも貰えるんだな」と思ってくれる人が、日本人でもタイ人でもいいので出てきてくれると、僕はバトンを渡せる。バトンを渡せないと、40〜50年後にはタイでの日本の音楽の位置づけはさらに衰退しているんじゃないか、と危惧しています。後進を探す・育てるという意味でも、マネタイズできることが必要。大人になればなるほど、どうしても避けて通れない道です。

 

 

 

待望の新バンドFaustus

 

 

 

最後に、いよいよ始動したGinnさんの新バンドFaustusの話を伺いました。この3ピースバンドを構成するのはドラムのGinnさん、前バンドaire(※3)で活動を共にしていたベースのVanさん、そしてギタリストは元Jelly Rockets(ジェリー・ロケッツ)のMoさん。

 

※3 2012年、在バンコクのタイ人と日本人で結成したインストゥルメンタルロックバンド。瞬く間に現地ポストロックシーンを代表するバンドに。2015年に活動休止を発表。

 

 

———新バンドFaustusを始めたきっかけは?

 

Ginn:自分のほとんどを注いでいたバンドaireが3年前になくなり、もう空っぽになっちゃって、自分のバンドをやる気力が湧いてこなかったんです。でも、この3年の間に、方々から声かけてもらってサポートドラムしたり、レコーディングを手伝ったり、多くの人たちから応援してもらったりすることが多々あって、気力が湧いてきたというのがシンプルな理由。

 

 

Van (Bass)

 

Mo (Guitar)

 

Ginn:やるなら、前の(aireの)ベースのVanは誘おうとずっと思っていたので、まず彼を誘いました。ギタリストは僕たちが持ってないような新しい風というか、僕が聴いてきたことじゃないことを聴いてきていて、でも僕らがやっている音楽を理解できる、そんな若手がいいな、と。そして、ある程度の経験と技術があり、Vanも認める人。色々と考えて最終的に行き着いたのがMoでした。前に(Jelly Rocketsと)ライブを一緒にやった時に楽屋でVanとMoが話していたことがあり、滅多に人を褒めないVanが彼女のことを褒めていたのを覚えていて。そして、ボクが探しているギタリスト像にも合致するのがMoでした。彼女が以前やっていたバンドのジャンルと、このバンドでやろうとしているジャンルがあまりにもかけ離れていたため、ダメ元だったのですが、「やります」と返事が貰え、それで今3人でやっています。音楽性はJAZZの要素もあるマスハードコアみたいなもの。だから前のaireよりも、更にニッチな音楽になっています。

 

Ginn (Drum)

 

——— Faustusは、これからどう発展していくか聴いていきたい音ですね。

 

Ginn:ありがとうございます。今、僕の中で15曲くらいできており、実際に演奏できるのは6〜7曲くらいです。 今は僕がギターで元ネタを作り、それを3人で編曲していく形で曲を作っているのですが、3人とも聴く音楽の幅は広いので、もしかしたらしばらくしたら全然違う、例えばMoが作るポップスとかになっているかもしれない。どうなっているかわかんない。Faustusはこの3人でできることを、突き詰めていく感じです。

 

 

Noise Market (2019)にて。 

 

 

Ginn:Moちゃんも頑張りましたよ。今まで4分の4とか4分の3(のリズムの曲)しかやったことがなかったのに、僕らのバンドでの初めての曲が8分の7と、7拍子から始まる曲で、最初は全然弾けず、家で猛練習したそうです。最初は彼女がこういう音楽を気に入ってくれるかなと不安もありましたが、楽しんでやってくれています。先日のNoise Market(※4)でのライブでは観てくれた人も多かったし、とてもいい反応が貰えたので、Moちゃんも今までやったことのなかったスタイルの演奏に自信を持ち始めたようです。でもまだまだ曲もライブも発展途上なので、僕としてもこれからが楽しみです。

 

※4 2019年4月20日〜21日にMuseum Siamで開催。

 

 

Ginn:次、7インチ出すんですよ!今、発注中でして、6月中旬には手元に届く予定です。(※5)先日、全部で4曲をレコーディングして、そのうちの2曲を7インチに収録しています。1曲はYouTubeにアップしています。7インチに収録していない曲も1曲YouTubeにリリースしてまして、残り1曲はリリースタイミングを考えています。

 

※5 2019年5月上旬に取材。

 

 

 

Faustus - 「Cenerentola」- 7 inch 「Cenerentola」収録 (2019)

 

 

 

 

Faustus - 「So Collapse」(2019) 

7インチには未収録の曲

 

 

Ginn:自分のバンドができて、今、楽しいです!人のヘルプやるのも、それはそれで違った楽しさがありますが、やっぱり自分の音楽を自分のメンバーとできるのが一番楽しいです。あと半年くらいで、バンドもだいぶ固まってくると思うので。

 

———ちょうどCat Expoの頃ですね。楽しみにしています!

 

 

 

 

【”アジア”で繋がるインディー・ミュージック 連載003】

Ginn (dessin the world) インタビュー (前編)

Ginn (dessin the world) インタビュー (中編)

 

 

Photo: Yoko Sakamoto

 

 

 

 

 

 

 

 

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